上段廻し蹴りの考察(1)

フルコンタクト空手のルールでハイキックを格好よく蹴りたい!のは皆さん同じだと思います。

特に一般部、なかなかハイキックが蹴れない・・・と悩む稽古生が多い。

ワタシ自身も昔に比べてハイキックを蹴るのは厳しくなっているのは事実。

ハイキックを練習する上で「股関節の柔らかさ」は確かに大切なファクターではあるが、それだけでは

無いとワタシは考えています。

例えばストレッチでの開脚・・・なかなか股関節が開けない(笑)

よくテレビや雑誌で「簡単!股関節開脚ストレッチ」などと誰でも開脚が出来るような内容を唱って

いますが、ワタシ個人的な所見としては無理な話しだと思っています。

皆さんそれぞれ顔が違います。。。それは顔面の骨格形成の個人差によるものが大きいですね。

同じように、それぞれ骨格や関節の形状、筋腱の付き方や発達具合も同じな訳けがありません。

ここでは股関節について説明しますが、まずは男女の性差による形状の違いがあります。

もちろん男女にも個人差がありますが、女性は関節窩が浅く男性のそれは深い。

これには諸説はありますが、女性は出産をするために浅く出来ており、男性は頑丈に深く出来ている

と言われています。

関節窩が浅いと関節可動域(ROM)が大きく、深いとROMは狭くなります。

だから幸か不幸か、女性は女児での先天性股関節脱臼が多いし、高齢での股関節疾患が多いと言われています。

それ以外にも、関節窩の位置が微妙に高かったり低かったり、大腿骨骨頭の大きさや大腿骨頸部の傾斜角度が

皆さんそれぞれ微妙に違うのです、顔や体格がそれぞれ違うように。。。

筋肉の硬さだけであればストレッチやその他の方法で多少の改善は可能です。

ただ、骨格的・股関節形状の個体差による股関節の外転制限があれば、いくらストレッチを頑張ってもほとんど

効果は出ません、関節窩の関節唇を外科的に削るなんて事をしない限りは難しいと思われます。

 

また、ストレッチでの開脚はかなり開くのにハイキックが蹴れないという稽古生がいます。

内転筋群の柔軟性はあるのに蹴れない・・・これこそ股関節の外転制限の理由が「短縮側」にあるからです。

関節形状によるもの、関節外側のいろいろな筋肉が固くなっている、、、という理由に加えて

骨盤を左右に引き上げる腰部の筋肉も硬くなっている場合がとても多いのです。

身体を開いて蹴るハイキックは、それだけ骨盤が左右に傾かないと蹴れない。

開脚の柔軟性ばかりではなく、腰方形筋など骨盤を引き上げる筋肉が柔らかく使えないとハイキックは

蹴れないのです!!・・・実はワタシ自身の悩みのタネもここなんです(笑)

少し専門的な内容になってしまいましたが、決してストレッチや柔軟体操が不要という事ではなく

それはそれで絶対的に必要ですが、開脚には関節形状の物理的理由による側面があるし、それだけで

ハイキックを上手く蹴れるわけでもないと理解して欲しいと思います。

ワタシの考える最も重要な事・・・それは次回の上段廻し蹴りの考察(2)で書きたいと思います。

         だって話しが長くなりますからね~(笑)

上記の「簡単!股関節開脚ストレッチ」などの記事で「私もこんなに柔らかくなりました!」なんて

モデルさんは全員女性だし、素質を持ったヒトが効率良く筋腱を伸ばす事が出来た結果なのです。

「誰でも」なんて事は絶対にありませんから!! ココだけは自信を持って強調しておきます。